最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)610 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人浦田関太郎の上告趣意は末尾に添えた書面記載の通りである。
上告趣意第一点について。
論旨は、原審の被告人に対する刑の量定が甚しく不当であり且つ著しく正義に反
するというのである。しかしながら、本件はいわゆる旧法事件であつて、刑訴施行
法第二条によつて新刑訴法の適用なく、旧刑訴法による事件であるから、仮りに所
論のような事由があつても原判決を破毀することはできない。そして、刑訴応急措
置法第一三条第二項によれば、所論のような事由は日本国憲法施行の日から適法な
上告の理由とならないのであるから論旨は採用することができきない。
同第二点について。
憲法第一三条が個人の尊厳と人格の尊重を宣言したものであることは勿論である
が、同条には「公共の福祉に反しない限り」との大きな枠をつけており、また憲法
第三一条は社会秩序保持のため必要とされる国家の正当な刑罰権の行使を是認して
いるのであるから、事実審が諸般の事情を考慮して被告人に実刑を科する判決を言
渡すことは憲法の条規に反するものでないということについては、当裁判所大法廷
の判決が示すところである(昭和二二年(れ)第二〇一号同二三年三月二四日大法
廷判決、昭和二二年(れ)第一〇五号同二三年四月七日大法廷判決)。されば、原
審が被告人に実刑を科したことを非難する論旨は理由がない。
よつて、最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項旧刑訴法第四四六条に従い主
文の通り判決する。
以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。
検察官 安平政吉関与
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昭和二四年八月九日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 穂 積 重 遠
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